西尾聡雄が彼女をどこに連れて行きたいのか、青木岑はもう尋ねなくなっていた。尋ねても無駄だからだ。
これまでの経験から、もし尋ねたとしても、西尾様は「当ててごらん?」という二文字で返すだけだった。
あれこれ推測して、そんな頭を使うことを、青木岑はもうしたくなかった……
毎日南区であんなに疲れているのだから、帰宅してまで頭を使いたくなかったのだ。
そこで彼女は、西尾様が用意してくれたすべてを静かに待つことにした……
結局のところ、彼女にとっては、西尾聡雄と一緒にいられれば、どこでもよかった。
大衆食堂で食事をするのも、海辺で夜景を見るのも、市街地で映画を見るのも、郊外の夜市を散策するのも、ただ二人で街を歩くだけでもよかった。
20分後
市街地にある7階建ての眠らない街の入り口で、西尾聡雄は目立つマイバッハを停めた。
青木岑は車を降り、頭を上げて見上げた。
この場所は知っていた。市内最大のゲームセンターで、春夏秋冬を問わず、毎日満員だった。
噂によると、毎日大金が入るという……
今ではゲームで遊ぶのは子供だけでなく、多くの大人もここにハマっていた。
ゲームの種類は多種多様で目まぐるしく、1階から7階まで、まさに大規模な施設だった。
「ゲームでもする?行く?」西尾聡雄は横を向いて青木岑に尋ねた。
「せっかく来たんだから、少し遊んでみましょう。どうせ眠れないし」青木岑は笑いながら答えた。
西尾聡雄は彼女の手を取り、二人で中に入り、直接エレベーターで7階に向かった。
7階は人が少なかった。設備がすべて高級で、ゲームコインも他の階の何倍も高かったからだ。
これがいわゆるVIPというものなのだろう?どこに行っても、お金があれば最高級のサービスを楽しめる。
入るなり、西尾聡雄はカウンターで3000円以上のゲームコインに両替した。
そして小さなかごを片手に持ち、もう片方の手で青木岑の手を取って……
ゲームセンター内を歩き回った
この温かくて愛に満ちた光景に、青木岑も心が溶けそうだった。
幸い西尾聡雄の露出度は低く、彼を知る人はほとんどいなかった。さもなければ……大変なことになっていただろう。
西尾聡雄と青木岑はしばらくぬいぐるみクレーンゲームで遊び、青木岑は何度か挑戦したものの、欲しかった黒いボール型のぬいぐるみは取れなかった。