第80章:遊びたいなら、お相手してやろう(10)

矢野川はゲーム好きで、関口遥と桑原勝とは違っていた。

関口遥と桑原勝はほとんどの時間をナイトクラブやプライベートクラブで過ごしていた。

彼だけが子供のような純粋さを持ち続け、よく数人の金持ち息子たちとここで遊んでいた。

矢野川は、ここで青木岑に会えるとは思ってもみなかった。彼女の隣に座っていたのは西尾聡雄だった。

矢野川は携帯を持って、こっそりと後ろから短い動画を撮影した。

そして意地悪く桑原勝に送信した……

だから言うじゃないか……佐藤然は西尾兄の友人として、時々迷惑をかけることがあるが、それは稀なことだ。

関口遥と矢野川は桑原勝の友人として、非常に迷惑な存在で、しかもそれは常にだ。

動画の中の青木岑は後ろ姿だけだったが、桑原勝はすぐに彼女だと分かった。

その時、スターキング本社の重役会議室にて。

桑原勝は動画を見た後、顔を上げて周りを見回した。

「今日の任務は、しっかり理解できましたか?」

「はい、荒木社長」十数人の幹部たちが次々と頷いた。

夜遅くに、大ボスは寝もせず、女遊びもせず、クラブにも行かず、ここで残業して会議をしているなんて、もはや正気の沙汰ではない。

どうやら、桑原勝にも真面目な時があるようだ……

「解散」

そう言って、桑原勝は立ち上がって会議室を出た……

そして真っ先に、矢野川に電話をかけた。

「もしもし?桑原様……」

「どこで彼女を見かけた?」桑原勝は遠回しな言い方をせず、本題に入った。

「ちぇっ……こんな夜中に寝ないのか?」

「寝るかボケ……」

「ふん、お前が彼女と寝ればいいのに、あの子はお前に夢中なんだぞ」矢野川は意地悪く笑った。

「無駄話はやめろ、本題に答えろ」桑原勝は焦っていた。

「なに?場所を教えたら、すぐに来られるとでも?」矢野川は笑いながら桑原勝をからかい続けた。

「小僧、3秒やる。言わないなら、もう一度南区療養院に入れてやるぞ?」桑原勝は脅し始めた。

「やめてくれ、桑原様、俺はもうお前には参ったよ。二度と南区療養院には行きたくない。飯はまずいし、青木岑が怖すぎる……」矢野川は南区での記憶が鮮明だった。

青木岑にひどい目に遭わされただけでなく、そこでは食事も睡眠も満足にとれず、女の子とも会えず、気分も悪く、すべてが最悪だった。

「無駄話はやめろ、要点を言え」