「幸治が卒業したら、GKで私を手伝ってもらいたいんだ」西尾聡雄は青木岑の髪を優しく撫でながら、一言一言丁寧に言った。
「それは……」
「私から彼に話はしたんだけど、あなたが反対するんじゃないかって心配してて。だから、まずあなたと相談して、意見を聞きたいと思って」
「手伝ってくれるのはいいことよ。GKは大企業だし、将来性もあるし、彼の能力も活かせる。でも……心配なの」
「何を心配してるの?」青木岑が言いよどむのを見て、西尾聡雄は尋ねた。
「人々の噂話よ。コネで出世したって言われるでしょう。そういう噂が広まったら、あなたにも彼にもよくないわ」
「それは心配しなくていいよ。幸治は実の弟同然だし、もう家族なんだ。家族企業だから、誰も文句は言えないさ。今の私と幸治の関心事は、君の態度なんだ。君が同意してくれれば彼を迎え入れるし、反対なら幸治の将来に干渉はしない」