その後、青木岑は最上階のVIP応接室へと向かった。
これは南区に新しく建てられた応接室で、まだ正式に使用されていなかった。
青木岑はここを一時的に催眠室として使用することにし、今回の予約者は市内で有名な心理学の専門家、中島美玖だった。
海外で博士号を取得し、帰国後は自分の診療所を開かずに、警察庁の特別顧問として特定の容疑者や証人の心理催眠を担当していたという。最近では学術論文を発表し、国内の一流専門家たちから高い評価を得ていた。
この中島美玖も変わった人物で、学者の家系の出身で、両親とも大學教授という才能豊かな人物だった。
両親は彼女に数字に特に敏感だったため、経済学を専攻させようとしたという。
しかし、重要な時期に、周囲の反対を押し切って専攻を変更し、心理学を学んだという大胆な選択をした。