桑原勝はゆっくりとカクテルのボトルを下ろした。「止める?なぜ止める必要があるんだ?」
「社長は彼女たちを...するつもりじゃなかったんですか?」
「私の計画に神田相子なんて女は最初から入っていない」と桑原勝は軽く笑った。
広瀬さんは悟ったように「社長の意図は、この機会に彼女を切り捨てるということですね」
「どうせここでも人気は下降気味だし、それに彼女は昔から落ち着きがなくて、会社を混乱させてばかりだった。この機会に去らせるのもいい。あんな人間はどこに行っても波風を立てるだけだ」
「社長の考えは完璧ですね。他の人たちは?」
「GK映像の開業まであとどのくらいだ?」
「あと二日です」
「ああ、いいだろう。他の者たちには予定通り進めさせればいい」
「はい」広瀬さんは頷いて、部屋を出て行った。
桑原勝は優雅に足を組み、豪華な社長椅子に寄りかかった。
二日後のGK映像の様子が今から楽しみだった。
さぞかし賑やかになることだろう...
最大のライバル企業として、花輪...いや、花かごでも贈るべきかな?
GKグループ本社
「社長、今朝笹井監督が神田相子という大物タレントの契約に成功しました。我々にとっても良いニュースです」
永田さんは興奮して新会社の進展を報告した...
社長は喜んでいると思っていたのだが...
しかし、西尾聡雄の表情には喜びの色が見られなかった...
西尾聡雄はノートパソコンのデータを見ながら、無関心そうに言った。「九千万で落ち目のタレントを契約して、何が嬉しいんだ?」
「えっと...金額は社長がお決めになったんじゃ?」永田さんは命知らずにも聞き返した。
西尾聡雄はマウスから手を離し、永田さんの方を向いて「私の目的は特定のタレントを引き抜くことじゃない。スターキングにタレントを使わせないようにすることだ」
「あぁ...そういうことだったんですか。でも...スターキングにはたくさんのタレントがいますよ。いくら引き抜いても追いつきませんよ」永田さんは顔を曇らせ、社長の課題があまりにも困難だと感じていた。
「だからこそ有名なタレントを狙うんだ」
「なるほど」
永田さんの言葉が終わるか終わらないかのうちに、オフィスにノックの音が響いた...
「入れ」