第86章:彼女が気にかけているのは彼だけ(6)

桑原勝はゆっくりとカクテルのボトルを下ろした。「止める?なぜ止める必要があるんだ?」

「社長は彼女たちを...するつもりじゃなかったんですか?」

「私の計画に神田相子なんて女は最初から入っていない」と桑原勝は軽く笑った。

広瀬さんは悟ったように「社長の意図は、この機会に彼女を切り捨てるということですね」

「どうせここでも人気は下降気味だし、それに彼女は昔から落ち着きがなくて、会社を混乱させてばかりだった。この機会に去らせるのもいい。あんな人間はどこに行っても波風を立てるだけだ」

「社長の考えは完璧ですね。他の人たちは?」

「GK映像の開業まであとどのくらいだ?」

「あと二日です」

「ああ、いいだろう。他の者たちには予定通り進めさせればいい」

「はい」広瀬さんは頷いて、部屋を出て行った。