「いいえいいえ、私はただの使い走りですよ。本当に私たちの会社のために、あなたのような大スターを引き抜きたいんです」と笹井春奈は笑って言った。
「わかりました。では帰って考えてみて、後ほど返事させていただきます」
「OK、あなたとの協力を楽しみにしています」笹井春奈は颯爽と神田相子と握手した。
商談は比較的順調に進んだ……
二人が出てきた時、前後に並び、神田相子は身なりを完全に隠していた。メディアやスターキングの人に見られるのを恐れていたからだ。
結局のところ、お金のためにスターキングを去るというのは、主を裏切って利益を求めることになるから……
彼女は実際、桑原勝のことがとても好きだった。しかし桑原勝は彼女に全く興味を示さず、この機会にGKに移籍するのも悪くないと思った。
彼女は雑誌で一度、西尾聡雄の写真を見たことがある。それは非常にハンサムな男性だった。
表情は冷たすぎるものの、それでも彼女は興味を持っていた……
そのため彼女の心の中では、すでにGK寄りになっていた。
ただ、この機会に値上げして一儲けしようと思っていただけだった。まさか笹井春奈の一本の電話で簡単に押さえ込まれるとは思わなかった。
帰り道、笹井春奈は上機嫌で、車を運転しながら英語の歌を聴いていた。
親友の小原晴子からLINEが来た。「春奈、どうなの?私のいとこはなんて言ってた?」
「たぶん来てくれると思う。今夜返事をくれるって」と笹井春奈は返信した。
「本当にバカね、何を考えることがあるの?すぐに契約すればいいのに。スターキングは彼女にもう合わないわ。桑原坊ちゃんのところでとっくに見放されているのよ。ちょっと待って、私から電話して説得してあげる」
笹井春奈は携帯を置いて、微笑んだ。神田相子については、必ず手に入れるつもりだった。
少しずつ西尾聡雄の評価を得て、最後にすきを見てBOSSのベッドに潜り込むつもりだった。
これが彼女の究極の夢だった。もはや名分なんて考えていなかった。
西尾聡雄の妻が誰であろうと気にしていなかったが、BOSSと寝ることは絶対に実現させるつもりだった。
そうでなければ、GKというつまらない企業でこれほどの年月を費やしたことが無駄になってしまう。
彼女はそう簡単に諦める人間ではなかった。もちろんそんなはずがない。
深夜1時