第84章:彼女が気にかけているのは彼だけ(4)

西尾聡雄と青木岑が一緒に寝ているとき、携帯電話は基本的にマナーモードにしていた。

青木岑を驚かせないようにするため……

しかし西尾聡雄は眠っておらず、タブレットで会社の設計図を見ていた。

携帯が無音で光り、チラッと見ると笹井春奈からの電話だった。

でも彼は出るつもりはなかった。正直に言うと、笹井春奈という女性に少し反感を持っていた。表面上は従順な女性だが、実はそういう人が一番怖い。

なぜなら、そこまで演技ができる人は、心の奥底に何を隠しているのか分からないからだ。

恐ろしい仮面を被っているような人は、永遠に本心が見えず、心を開くことができない。

それに比べて西尾聡雄は、青木岑のような常に素の自分を見せる人が一番好きだった。

青木岑が狂気的でも、尊大でも、演技でも、冷たくても、少なくとも彼女の見せる姿は最も本物だった。