西尾聡雄と青木岑が一緒に寝ているとき、携帯電話は基本的にマナーモードにしていた。
青木岑を驚かせないようにするため……
しかし西尾聡雄は眠っておらず、タブレットで会社の設計図を見ていた。
携帯が無音で光り、チラッと見ると笹井春奈からの電話だった。
でも彼は出るつもりはなかった。正直に言うと、笹井春奈という女性に少し反感を持っていた。表面上は従順な女性だが、実はそういう人が一番怖い。
なぜなら、そこまで演技ができる人は、心の奥底に何を隠しているのか分からないからだ。
恐ろしい仮面を被っているような人は、永遠に本心が見えず、心を開くことができない。
それに比べて西尾聡雄は、青木岑のような常に素の自分を見せる人が一番好きだった。
青木岑が狂気的でも、尊大でも、演技でも、冷たくても、少なくとも彼女の見せる姿は最も本物だった。