神田相子は芸能界で重要な存在であり続けてきた……以前に影帝を獲得したこともあり、それなりの実力者だった。
スターキングに入社してからも順風満帆だったが、残念ながら真の女王にはなれなかった。
以前は岩本奈義に押さえられ、岩本奈義が姿を消した後は、飯島智に地位を奪われた。
そのため心中穏やかではなかった。彼女は人望がなく、以前から気難しい性格で知られ、マネージャーやアシスタントも何人も変えてきた。さらに私生活が乱れているという噂もあり、付き合った男優や実業家は数え切れないほどで、これもスターキングが彼女を全面的に押さない理由だった。
「おっしゃる通りです。でも私たちの誠意を信じてください。私はGKの幹部として、直接社長と話せる立場にいます。社長の意向では、あなたが来てくれるなら、すべて話し合いに応じるということです」笹井春奈は態度を良くし、終始笑顔を絶やさなかった。
笹井春奈は本来映像部門の担当ではなかったが、このように必死に神田相子を引き込もうとしているのは。
ただ西尾聡雄の目に留まりたいがために功を売ろうとしているだけだった……
そうでなければ、彼女の傲慢な性格で、神田相子のこんな態度を受け入れられるはずがない。
「すべて話し合いに応じるって、聞こえは良いけど、結局は空約束でしょう?笹井さん、はっきり言ってください。GKには本当に私を迎える誠意があるんですか?もしないなら、ここであなたと時間を無駄にするつもりはありません。家には読まなければならない台本がたくさんありますから」
そう言って神田相子は立ち上がろうとした……
笹井春奈は慌てて引き止めた……
「いえいえ、本当に話し合いましょう。条件を言っていただければ、受け入れられるかどうか検討させていただきます」
笹井春奈は手柄を立てるために、覚悟を決めていた……
笹井春奈がそう言うのを聞いて、神田相子は再び座り直し、五本の指を立てた。
「5倍です」
「5倍ですって?多すぎじゃないですか?」笹井春奈は、神田相子がスターキングで年間3000万円の給与を得ていると聞いていた。
今彼女が法外な要求をして一気に5倍を求めるなら、それは1億5000万円になる……
全身金ピカに装飾したとしても、そんな価値はないだろう。まさに法外な要求だ。