第83章:彼女が気にかけているのは彼だけ(3)

神田相子は芸能界で重要な存在であり続けてきた……以前に影帝を獲得したこともあり、それなりの実力者だった。

スターキングに入社してからも順風満帆だったが、残念ながら真の女王にはなれなかった。

以前は岩本奈義に押さえられ、岩本奈義が姿を消した後は、飯島智に地位を奪われた。

そのため心中穏やかではなかった。彼女は人望がなく、以前から気難しい性格で知られ、マネージャーやアシスタントも何人も変えてきた。さらに私生活が乱れているという噂もあり、付き合った男優や実業家は数え切れないほどで、これもスターキングが彼女を全面的に押さない理由だった。

「おっしゃる通りです。でも私たちの誠意を信じてください。私はGKの幹部として、直接社長と話せる立場にいます。社長の意向では、あなたが来てくれるなら、すべて話し合いに応じるということです」笹井春奈は態度を良くし、終始笑顔を絶やさなかった。