第107章:人材争奪戦(7)

青木岑は少し躊躇したが、電話に出た……

「もしもし?」

「岑、T市の件は知ってるよね?」

「うん、知ってる」

「西尾聡雄はそっちに行ったんだろう?」

「何を聞きたいの?」青木岑は少し不機嫌になった。

「別に詮索するつもりじゃないんだ。ただ、あっちで何か起これば、明後日の新会社のオープニングは台無しになるだろうってことを言いたかっただけだ」

「そんなことはないわ。生配信を見たけど、日程は変更しないって言ってたもの」

「それは桑原勝がまだ手を打ってないからだよ。桑原勝が本気を出したら、あなたの西尾聡雄は大変なことになるぞ」

「桑原勝が本気を出す?」青木岑は疑問に思った。

「西尾聡雄が映像会社を立ち上げた理由は分かるでしょう?」青木重徳は軽く笑った。

青木岑は黙り込んだ。確かに知っていた……