第121章:世界に残るのは私とあなただけ(1)

青木岑が振り返ると、西尾聡雄はすでに目を開けていた……

「疲れているから、少し休んでいて。私が外で他の用事を片付けてくるわ」

「いや、こっちに来て、座って」西尾聡雄が軽く引っ張った。

青木岑は彼に引かれてソファに座り込んでしまった。

西尾聡雄は手を上げ、青木岑の肩を抱き寄せた……

「実は、あのアーティストたちが急にドタキャンするのは予想すべきだった。ただ、通信まで遮断されて連絡が取れなくなるとは思わなかった。それに永田さんのバカが重要な時に、君を頼るなんて。君は会社の仕事を扱ったことがないのに、本当に申し訳なかった」

「気にしないで。自分の家の仕事だもの、何が申し訳ないことがあるの」青木岑は微笑んだ。

「坂口晴人は……最近君が治療している患者だって聞いたよ。彼が契約してくれたのは、全て君の顔を立ててくれたからだ。どうお礼を言えばいいのかな?妻よ」西尾聡雄は愛おしそうに彼女を見つめた。