「本当に困ったものね」西尾聡雄はため息をつき、ついに折れた。
「へへ……」西尾聡雄の怒りが収まったのを見て、青木岑はすぐに笑顔になった。
「胃はまだ痛いの?」西尾聡雄は心配そうに尋ねた。
「たぶん空腹のせいよ。早く食べに行きましょう」
「うん」西尾聡雄は頷き、青木岑を抱きかかえて外へ向かった。
「降ろして。社員が見たら大変なことになるわ」青木岑は、西尾聡雄がこのまま抱きかかえて階下まで行くなら。
きっとGKのゴシップ記事になってしまうと思った……
「なら、そうなればいい」
西尾聡雄は頑なに青木岑を抱きかかえたまま階下へ向かい、車に乗ってから、まず救急箱を取り出して青木岑の手のひらを消毒し、バンドエイドを貼った。
そして二人は信太郎ラーメンへ向かった。
その間にちょっとしたハプニングがあった……