第99章:全ては計算通り(その9)

矢野川:「安心して、あなたの大切な人は無事だよ。でも、あいつはひどい目に遭ったらしい。警察署まで行ったって話だ」

関口遥:「彼女はまだ警察署にいるの?おかしいな、西尾聡雄が保釈に行ったはずだけど」

矢野川:「そうだよ。最新情報によると、青木岑は誰かに迎えに来られたらしい」

桑原勝:「病院側はどういう態度で、この件をどう処理するつもりなんだ?」

桑原勝が気にかけているのは、その人物がどう処理されるかということだ。院長が対処しないなら、彼が院長の代わりに天誅を下すことになるだろう。

矢野川:「吉田信興が激怒して、その男と副院長を即刻解雇したそうだ」

関口遥:「マジかよ、副院長まで解雇されたのか。副院長も巻き添えを食らったな。義弟のせいで大変なことになったな、ハハ」

矢野川:「待って、まだ最新情報があるんだ。解雇令が出てから30分も経たないうちに、警察が病院に来て、二人を連行したんだ。汚職や公金横領など、かなりの容疑で公正取引委員会が調査するらしい」

桑原勝:「きっと西尾聡雄の仕業だな」

矢野川:「私もそう思う。ハハ、つまり、あの二人は刑務所で飯を食うことになるわけだ」

桑原勝は数秒間沈黙した後、「刑務所側に伝えておけ。あの二人が入ったら、しっかり"もてなす"ように」と言った

桑原勝は特に「もてなす」という言葉を強調した。矢野川はすぐにその意味を理解した。

「ハハハ、青木岑の仕返しをするつもりか。でも彼女はあなたがやったことを知らないのに、意味があるのか?」と矢野川は笑った。

「やれと言ったらやれ。余計な話はいらない」

矢野川:「はいはい、分かりました、桑原様」

関口遥:「その情報はどこから入手したんだ?確かな情報なのか?」

矢野川:「安心しろよ。間違いない情報だ。入院中に可愛い看護師さんと仲良くなってな、LINEも交換して、何回か一緒に寝たんだ。ハハ、なかなかいい子だったよ。その子が暇さえあれば南区の話をしてくれて、時々青木岑のことも話題に出すんだ。今日のことを聞いて、面白いと思って、桑原様が興味を持ちそうだと思ったんだ」

関口遥:「まったく、お前には参るよ。入院してるだけで、そんな女まで見つけやがって」

矢野川:「言葉遣いに気をつけろよ。品がないな。"そんな女"じゃなくて、ベッドパートナーって言うんだよ。ハハハ」