第110章:人材争奪戦(10)

「彼ではないはずです。私たちはライバルですが、彼にはそんなことはできません」

西尾聡雄は理性的で、桑原勝がライバルであり恋敵だからといって、むやみに罪をなすりつけることはしなかった。

桑原勝は強大な桑原家に生まれ、桑原家の教育方針からすれば、あんなに高慢な太子が人命を踏み台にする必要はない。彼と対峙するのだから、確実に桑原勝ではないと言える。

「平野浩由を捕まえれば良い。彼は全てを知っているはずだ」

「ええ、すぐにでも分かるでしょう」

西尾聡雄は頷いた。彼は即座の行動スタイルを信じていた……

リックの家族はアメリカでもかなりの実力者で、今は静かに待つだけでよかった。

永田さんは戻ってきた後、すぐに本社に向かい、翌日の計画の配置を始めた。

本来なら全て準備が整っていた。社長の指示通りに。