「彼ではないはずです。私たちはライバルですが、彼にはそんなことはできません」
西尾聡雄は理性的で、桑原勝がライバルであり恋敵だからといって、むやみに罪をなすりつけることはしなかった。
桑原勝は強大な桑原家に生まれ、桑原家の教育方針からすれば、あんなに高慢な太子が人命を踏み台にする必要はない。彼と対峙するのだから、確実に桑原勝ではないと言える。
「平野浩由を捕まえれば良い。彼は全てを知っているはずだ」
「ええ、すぐにでも分かるでしょう」
西尾聡雄は頷いた。彼は即座の行動スタイルを信じていた……
リックの家族はアメリカでもかなりの実力者で、今は静かに待つだけでよかった。
永田さんは戻ってきた後、すぐに本社に向かい、翌日の計画の配置を始めた。
本来なら全て準備が整っていた。社長の指示通りに。
しかし夜の10時、ある事件が勃発した……
神田相子は私生活が乱れていたが、過度に暴露されることはなく、噂話程度で流れていた。
今回、あるフォーラムで神田相子がナイトクラブで数人の男性と親密に接している写真3枚が暴露された。
1枚目はダンスフロアで男性と密着して踊っている。
2枚目は露出の多い服装で、タバコを持っている。
最後の1枚は男性の膝の上に直接座り、二人が****、非常に不適切な行為をしている。
テレビで見せる美人様のイメージとは大きくかけ離れていた。
数人の男性の顔はぼやけていて判別できないが、神田相子の写真は極めて鮮明だった。
明らかに彼女を陥れようとする流れだ……
神田相子は明日のレッドカーペットの重要なゲストの一人だったが、今日スキャンダルが発覚し、明日は確実に出られなくなった。
多額の契約金で署名したスターが、全く無駄になってしまった……
永田さんはニュースを見た後、すぐに西尾聡雄に電話をかけた。
「社長、ニュースはご覧になりましたか?」永田さんは泣きそうな顔で言った。
「見た」
「どうしましょうか?」
「予定通りに」西尾聡雄は相変わらず冷静だった。
「神田相子は……?」
「来させるな。彼女の資格を取り消して、ついでに海外旅行で騒ぎを避けさせろ。広報が処理するまで帰ってこさせるな」
「そうですね……」永田さんは不安そうに頷いた。
騒動がこれで終わると思っていたが……