第145章:人気者は非が多い(5)

青木岑が振り返ると、先日阿部クズ野郎から救った看護師さんの姿が目に入った。

「あぁ、あなたですね」青木岑は微笑んだ。

「看護師長さん……この前は助けていただいて、まだお礼も言えていなくて。これ、父が田舎から持ってきた地鶏の卵なんです。栄養たっぷりで、うちで飼っている地鶏のものなんです。お気に召さないかもしれませんが…」

看護師さんは両手で小さな竹かごを差し出し……誠意を示した。

「……そこまでしていただかなくても」青木岑は本当に感謝されるために人を助けたわけではないので、受け取りたくなかった。

「今どき卵を贈るなんて、看護師長さんはアウディR8に乗る人なのに、あなたの卵なんて気にするわけないでしょう?本当に……」

整形外科の数人の看護師たちが嘲笑い……

その看護師さんは頬を赤らめ、竹かごを持ったまま、少し困惑した様子で……