第144章:人気者は是非が多い(4)

中島美玖は振り返りもせずに、その一言を残して颯爽と去っていった……

そして、控えめなレクサスに乗り込んだ……

関口遥と矢野川は横顔しか見えなかった……

「あー……横顔美人だな……」関口遥も正面から見られなかったことを残念がった。

「レクサスに乗る小粋な女性か。きっと美人で脚が長いんだろうな。ただ、物言いがちょっときついな」さっき冗談を言って返り討ちにあったことを思い出し、矢野川もへこんでいた。

「人の物言いがきついって文句言うけど、お前が冗談で言った言葉だって嫌味だったじゃないか」関口遥は笑いながら言った。

「早くナンバープレートを撮れよ。後で交通課で調べられるから……」矢野川が提案した。

「やめとけよ……お前まだ前の件の尻拭いも終わってないだろ。女遊びは危険だぞ、デートは慎重にな」関口遥は善意で忠告した。

「金の問題なら、俺は金に困ってないよ」

「問題は、命は要らないけど金は要らないって女に出くわしたらお前が詰むってことだよ。そうなったら結婚しないと大変なことになるぞ……」

「えー……まさかそんな不運なことは……」矢野川はまだ楽観的な態度を崩さなかった。

「川の傍を歩けば靴が濡れる」関口遥は笑って、矢野川の肩を叩いた。

青木岑は中島美玖がこんな風に見合いをするのを初めて見て、笑いが止まらなかった。あの眼鏡の男性も本当にアレクサンダーだった。

実際、こんな些細なことなら、中島美玖の性格なら一瞬で片付けられる……

なぜわざわざ南区まで来て青木岑を拾いに来たかというと、おそらく一人で食事をするのが退屈だったからだろう。

青木岑が午後戻ってきたとき、内田部長がちょうど事務室に来ていた。

「青木さん」

「内田部長」青木岑は慌てて立ち上がった。

「坂口晴人の件はどうですか?進展はありましたか?」内田部長は最近海外研修から戻ったばかりで、坂口晴人のカルテにずっと関心を持っているようだった。

「はい、進歩が見られます。坂口晴人は今では普通に眠れるようになりました。他の面はまだ時間がかかります。やはり……うつ病は一朝一夕には治りませんから」青木岑は説明した。