「アメリカで知り合った古い友人だよ」リックも遠慮なく言った。
「ああ...なるほど」関口遥がそう言って、納得した様子だった。
リックは西尾聡雄と同じく、控えめな大金持ちで、お金は十分あるのに、決して派手にはしない。
なぜならリックの家族は、表に出せないような商売をしているからだ...
少し言葉を交わした後、リックは西尾聡雄たちの個室に戻った...
しばらくカラオケを楽しんだ後、一行は月下倶楽部を後にした。
西尾聡雄は青木岑を連れて帰宅した...
「あなた、友人とはいえ、アンドリューとアンナに何もお礼をしないわけにはいかないでしょう」と青木岑が念を押した。
「心配いらないよ。すべて手配済みだ。お金は受け取らないだろうから、たくさんの中国の陶磁器を用意して持って帰ってもらった。アンナは君のことをとても気に入っていたよ」と西尾聡雄は誇らしげに笑った。
「アンナはとても良い人よね。情熱的で開放的で、本当に土地が人を作るのね。アメリカ人は明るくて、性格が素晴らしいわ」と青木岑は笑顔で言った。
西尾聡雄は車を走らせ、南山城の自宅まで帰った...
深夜の12時だというのに...
南山城はまだ明々と灯りが付いていた...
門の警備員は24時間交代で勤務している。
今井伯父は二人が帰ってくるのを見て、すぐに近寄ってきた。「旦那様、夜食の用意をいたしましょうか?」
西尾聡雄は青木岑の方を振り返って「お腹すいてる?」と尋ねた。
青木岑は首を横に振った...
「では奥様用に用意したデザートスープをお持ちしましょう」と言って今井伯父は立ち去った。
青木岑は幸せそうに西尾聡雄の腕にしがみついて「やっぱり家が一番安心するわ」と言った。
「じゃあ、今度は君も一緒に連れて行くよ」西尾聡雄は愛おしそうに指を上げて、彼女の鼻先を軽くつついた。
「私も行きたいわ。でも南区は最近とても忙しくて、坂本副院長が事故に遭ってから代理院長が不在で、吉田院長が時々会議に来るけど、普段はいろいろと雑務を処理しなければならなくて、とにかく頭が痛いの」
「そんなに無理しないで...仕事は無限だけど、健康には限りがあるからね」
「わかってるわ、わかってる」
二人はリビングでデザートスープを飲んでから二階に上がった...