「あの……コホン」関口遥は軽く咳払いをしてから、声を落として言った。「中島美玖のLINE持ってる?」
「彼女を口説きたいの?」
青木岑がそんなに直接的に聞いたので、関口遥は顔を赤らめた……
「はは……そんな直接的な言い方はやめてくれよ」関口遥は苦笑いした。
「LINEは持ってるけど……」
「けど?」青木岑が言いよどむのを見て、関口遥は恐る恐る尋ねた。
「でも彼女、一週間後に婚約するかもしれないの」
「婚約?」このニュースは関口遥にとって晴天の霹靂だった。
裏社会を渡り歩いて何年も、やっと自分が興味を持てる女性に出会えたと思ったのに、もうすぐ独身生活から抜け出せるかもと思ったのに。
しかし……
青木岑が彼女の婚約の話をした時、関口遥は正気を失いそうだった。
心は一気に奈落の底まで落ちた……