「お会いできて光栄です、西尾社長」
「こんにちは」西尾聡雄は淡々と頷いて挨拶した。
その後、道中はほとんど会話もなく、中島美玖を中島家まで送り届けた。
「お二人はもうお帰りになって。また連絡を取り合いましょう」中島美玖は青木岑の頬をつまんで、それから振り返って家に入った。
「あの女性とはいつから友達なんだ?」
帰り道で西尾聡雄はゆっくりと尋ねた……
「えっと……そう長くないわ。坂口晴人の治療のために知り合ったの。彼女は有名な心理学博士よ」
「知っている」
「あなた、彼女を知ってるの?」青木岑は少し驚いた。
「直接の面識はないが、人物は知っている。彼女が近々婚約するのを知っているか?」西尾聡雄は突然話題を変えた。
「それまで知ってるの?」青木岑は信じられない様子で、自分の夫は千里眼でもあるのかしら?