第167章:腹黒い女の手段(7)

「WeChat交換してもいいわよ……全然問題ないわ」中島美玖は笑顔で、トレードマークの八重歯を見せた。

関口遥は心の中でようやく慰めを得た。今夜は無駄じゃなかった……

「でも、もう二杯お酒を飲んでもらわないと」中島美玖が言い終えた。

関口遥は即座に後ろのトイレに駆け込み、激しく吐き始めた……

今では「お酒」という言葉を聞くだけで崩壊しそうになる……

周りから爆笑が起こった……

中島美玖はその後、青木岑の手を引いて「帰って寝ましょう」と言った。

青木岑は黙って彼女の後ろについて行った……

「ちょっと待って」桑原勝が後ろから追いかけてきた。

「何?」青木岑は振り返った。

「このまま帰るの?さよならも言わないの?」桑原勝は気取って尋ねた。

「さよなら」言い終わると、青木岑は中島美玖の後ろについて行った。

桑原勝は哀愁漂う目で彼らが去っていくのを見つめた。その目には限りない哀愁が込められていた……

「お前、時々すごく臆病だよな。ただの女遊びじゃん。もっと率直に行けよ。俺を見てみろよ。さっきあの子とイチャイチャしてる時、トイレ行こうぜって直接言ったら、素直についてきたぜ」矢野川は桑原勝を諭すように言った。

すると桑原勝から殺意のこもった視線が投げかけられた……

「お前みたいなトイプードルじゃないんだよ。何でも手当たり次第に手を出したがる」言い終わると、桑原勝は矢野川を軽蔑的に見て立ち去った。

「あー……」この言葉に矢野川は完全に言葉を失った。

でもよく考えてみると、桑原様の言うことは理にかなっていた。自分の飼っているトイプードルたちは、普段から人になつくだけでなく。

確かに何を見ても触りたがる。まったく、なんて下品なんだ……

桑原様がこんなにエッチなジョークを飛ばすなんて、みんなこれからトイプードルを楽しく飼えるのだろうか?

関口遥は個室に戻って服とズボンを着て、落ち着いた様子で桑原勝たちと共に月下倶楽部を出た。

幸い、他人の視線など気にしていなかった……

「今日のことを誰かが噂すれば、容赦しない」桑原勝は義理堅く、追討令を出した。

従業員も客も、一言も漏らす勇気はなかった……

彼らは皆知っていた。これは上流社会の悪ふざけに過ぎず、真に受ければ負けだということを。