「あなって変な人ね……潔癖症なのに……私の食べ残しを食べられるなんて」
青木岑は高校時代のことを思い出した。同級生の女子が誤って西尾聡雄の服に牛乳をこぼしてしまったときのことを。
その時、その女子は本当に申し訳なく思い、クリーニング店に出すと言ったのだが……
西尾聡雄はその服を脱ぎ、そのままゴミ箱に捨ててしまった……
それ以来、その服のブランドを二度と着ることはなかった……
クラスメイト全員が彼の潔癖症を知っていて、近寄りがたい存在だった……
でも青木岑は彼の足を踏んだり、軍事訓練の時の迷彩服の袖を密かにハサミで切ったりできた。
彼の水筒に唐辛子の粉を入れることもできた……
彼の机で寝て、よだれを垂らすこともできた……
今思い返すと、本当に恥ずかしい思い出ばかり……
「君の食べ残しは美味しいから」西尾聡雄は唐突にそう言った。
青木岑は言葉を失った……
「ねぇ……昔の私、すごくうざかったでしょう?生意気で、調子に乗ってて……しかもよくイタズラして驚かせたりして」
「そうだね」西尾聡雄は落ち着いて食事を続けながら答えた。
「じゃあどうして私のことを好きになったの?」
「誰が好きだって言った?」
青木岑:……
「これは明らかに復讐だよ……とても嫌いだから、そばに縛り付けているんだ」
青木岑:……
「はいはい、あなたの勝ちよ」彼の復讐理論に、青木岑はもう何も言えなかった。
食事の後、西尾聡雄は優雅に口元を拭い、立ち上がった……
「行こうか」
「どこへ?」青木岑は怪訝な顔をした。
「誰かさんが野菜の種をたくさん買って、自分で野菜を育てたいって言ってたじゃないか」西尾聡雄は面白そうに青木岑を見た。
「えっと……私、子供っぽいと思う?」
「そうだね、確かに子供っぽい……でも、それが好きだよ」
彼女を愛しているからこそ、彼女の全てが愛おしい。長所も短所も、子供のような純真さも……
二人は部屋着に着替えて手を繋ぎ、野菜の種を持って古城の裏にある菜園へ向かった。
庭師たちは驚きのあまり、顎が外れそうになった……
「旦那様、奥様、これは私たちにやらせてください……お二人が土まみれになってしまいます」
「大丈夫よ、私たちでやるから、皆さんは休んでいてください」青木岑は微笑んで言った。
二人は楽しそうに作業に没頭した……