第185章:頭が良すぎて人を弄ぶ(5)

「どうしたんだよ?」矢野川は口を大きく開けて、関口遥を見つめた。

関口遥は女性を口説くのが得意な方ではなかったが……今まで失敗したことはなかったのに。

やっと気になる子に出会えたのに、その子の婚約式に出席することになるなんて?

「別に……何でもないよ」関口遥は苦笑いを浮かべた。

「あのさ……ベッドインした?」矢野川が尋ねた。

「してない」

「マジかよ……見直したわ」矢野川は、あの子は煮え切った鴨が飛んでいったようなものだと思った。

あの日、月下倶楽部で、あんなに……激しく遊んでたのに……

最後には婚約することになって……しかも許せないのは関口遥とベッドインもしてないことだ。

「縁がなかったんだろうな……」関口遥は正直、中島美玖のことが少し気になっていた。

でも……相手にその気がないんだから……