「どうしたんだよ?」矢野川は口を大きく開けて、関口遥を見つめた。
関口遥は女性を口説くのが得意な方ではなかったが……今まで失敗したことはなかったのに。
やっと気になる子に出会えたのに、その子の婚約式に出席することになるなんて?
「別に……何でもないよ」関口遥は苦笑いを浮かべた。
「あのさ……ベッドインした?」矢野川が尋ねた。
「してない」
「マジかよ……見直したわ」矢野川は、あの子は煮え切った鴨が飛んでいったようなものだと思った。
あの日、月下倶楽部で、あんなに……激しく遊んでたのに……
最後には婚約することになって……しかも許せないのは関口遥とベッドインもしてないことだ。
「縁がなかったんだろうな……」関口遥は正直、中島美玖のことが少し気になっていた。
でも……相手にその気がないんだから……