「これからの人生、よろしくお願いします」
関口遥はたった六文字を言っただけだったが、会場は騒然となった……
中島美玖はいつも高慢で気が短かったのに、関口遥のその一言で涙を流してしまった……
彼は他の男性のように、甘い言葉や白髪になるまで一緒にいるという空約束をしなかった。
ただシンプルに「これからの人生、よろしくお願いします」と……
その言葉には、たくさんの想いが込められていた……
「信じてください、絶対に失望させませんから……」中島美玖は涙混じりの笑顔でそう言った。
会場は拍手喝采に包まれた……
青木岑は夢中で拍手をし、傷を刺激してしまった……
「痛っ……すごく痛い」
「そんなに力入れなくていいでしょう。人の婚約式なのに、なんでそんなに興奮してるの?」桑原勝も呆れ果てた。
青木岑が痛がる姿を見て心も痛んだが、口では毒舌を吐かずにはいられなかった。
「嬉しいのよ……私の周りにもカップルがいっぱいいるけど、誰も彼らみたいじゃない。実は、恋って準備ができてから来るものじゃないの。準備ができた頃には去ってしまうこともある。関口遥と美玖が素敵な未来を築けますように」
青木岑はステージ上で見つめ合う二人を見て、胸が熱くなった……
そして桑原勝は青木岑の横顔を見て、切なさを感じていた……
「君はこんなに素晴らしいのに、僕のものにはならない……」これが彼が青木岑に言いたかった心の言葉だった。
男性側の逃亡で台無しになりかけた婚約パーティーは、関口遥が登場したことで、美しい縁となった。
渡辺家の人々と親族以外は、通常通り参加した……
青木岑は食欲旺盛でご飯を二杯も食べ、今日の料理が特別においしく感じた。
桑原勝と青木岑のテーブルには、誰も座ろうとしなかった……
唯一の関口遥もステージに上がり、主役となった。
他の人々は桑原勝を怒らせたくないため座らず、十八品の料理を二人だけで食べることになり、贅沢だった。
桑原勝は青木岑にナプキンを渡し、「ほら、拭いて。全然見た目を気にしないんだから」
「お腹が空いたら食べて、眠くなったら寝る。単純なことでしょ」青木岑は不満そうに反論した。
桑原勝は本来食欲がなかったが、青木岑がおいしそうに食べる姿を見て……食欲が湧いてきた。
彼はご飯を取り、ゆっくりと食べ始めた……