第200章:異なる試練(10)

「これからの人生、よろしくお願いします」

関口遥はたった六文字を言っただけだったが、会場は騒然となった……

中島美玖はいつも高慢で気が短かったのに、関口遥のその一言で涙を流してしまった……

彼は他の男性のように、甘い言葉や白髪になるまで一緒にいるという空約束をしなかった。

ただシンプルに「これからの人生、よろしくお願いします」と……

その言葉には、たくさんの想いが込められていた……

「信じてください、絶対に失望させませんから……」中島美玖は涙混じりの笑顔でそう言った。

会場は拍手喝采に包まれた……

青木岑は夢中で拍手をし、傷を刺激してしまった……

「痛っ……すごく痛い」

「そんなに力入れなくていいでしょう。人の婚約式なのに、なんでそんなに興奮してるの?」桑原勝も呆れ果てた。

青木岑が痛がる姿を見て心も痛んだが、口では毒舌を吐かずにはいられなかった。

「嬉しいのよ……私の周りにもカップルがいっぱいいるけど、誰も彼らみたいじゃない。実は、恋って準備ができてから来るものじゃないの。準備ができた頃には去ってしまうこともある。関口遥と美玖が素敵な未来を築けますように」

青木岑はステージ上で見つめ合う二人を見て、胸が熱くなった……

そして桑原勝は青木岑の横顔を見て、切なさを感じていた……

「君はこんなに素晴らしいのに、僕のものにはならない……」これが彼が青木岑に言いたかった心の言葉だった。

男性側の逃亡で台無しになりかけた婚約パーティーは、関口遥が登場したことで、美しい縁となった。

渡辺家の人々と親族以外は、通常通り参加した……

青木岑は食欲旺盛でご飯を二杯も食べ、今日の料理が特別においしく感じた。

桑原勝と青木岑のテーブルには、誰も座ろうとしなかった……

唯一の関口遥もステージに上がり、主役となった。

他の人々は桑原勝を怒らせたくないため座らず、十八品の料理を二人だけで食べることになり、贅沢だった。

桑原勝は青木岑にナプキンを渡し、「ほら、拭いて。全然見た目を気にしないんだから」

「お腹が空いたら食べて、眠くなったら寝る。単純なことでしょ」青木岑は不満そうに反論した。

桑原勝は本来食欲がなかったが、青木岑がおいしそうに食べる姿を見て……食欲が湧いてきた。

彼はご飯を取り、ゆっくりと食べ始めた……