第216章：私のブライズメイドになって（6）

「もしもし。」

「青木岑さんですか？」

「はい、そうです。」

「大石紗枝です。」

「知っています。何でしょうか。」青木岑は大石紗枝に対して、よそよそしくもなく、親しくもない態度を取った。

「お願いがあるんです。」

「どんなことですか。」青木岑は驚いた。あんなに高慢な大石紗枝が、自分にお願いをするなんて。

もしかして、西尾聡雄を譲ってくれと頼むのではないかとさえ思った。それは絶対にできない。

「来週の火曜日に美園邸で結婚式を挙げるんですが、私のブライズメイドになっていただけませんか？」

「えっと...なぜ私なんですか？」青木岑は少し混乱した。

ブライズメイドは親友がするものじゃないの？

「私があなたに負けたからです...私は人生をかけてあなたより優れていることを証明しようとしてきました。でも実際はそうではなかった...私は自分の方が綺麗で、お金があって、学歴が良くて、両親も立派だと思っていました...だから西尾聡雄の愛を得られるはずだと。でも今になってやっと分かりました。私の人生の追求は、ただの馬鹿げた夢でしかなかったんだと...今は全てを手放して、結婚することになりました...あなたにブライズメイドをお願いしたいのは、学生時代からあなたが主役で、私はいつも三流の脇役だったから...だから結婚式だけでも、私に主役を、あなたに脇役をやっていただけないでしょうか...失礼な願いだとは分かっています。でも...来ていただけたら嬉しいです。私たちの間のわだかまりも、もう終わりにしましょう。」

青木岑は黙って聞いていた...

大石紗枝は非常に率直な女だった。思ったことをそのまま口にする。

嫌いな相手なら、好きなふりなどしない。だから時々分不相応なことを言うけれど、それが彼女の本質だった。

今日の青木岑へのブライズメイドの依頼も、和解しましょうなどと偽りの言葉を並べることなく。

あるいは私たちは仲が良いとか言わずに、ただ率直に、青木さん、この日だけは私を主役にさせて、あなたに脇役になってもらえませんかと。

なんて素直な願いだろう？

「いいですか？」大石紗枝は分かっていた。成功率は低いだろうと。結局...青木岑は今や世間の注目を集めるGK家の若奥様なのだから。

一方の自分は小企業の令嬢に過ぎない...その差は歴然としている。