第228章：青木醫師、診察をお願いします（8）

「正気を失ったわ……まだ子供なのに、そんなに目立たせないで」

前回幸治が青木隼人に殴られて以来、彼女は幸治に何かあるのではないかとより心配になっていた。

だからこそ、より良い車を与えることには絶対に同意できなかった……

「でも今や彼は義理の弟だし、みんな知ってるじゃないか」

「それがどうしたの？絶対に車は変えさせない……大學卒業してからにして」

「わかった、君の言う通りにするよ」

西尾聡雄は青木岑がそこまで主張するのを見て、もう何も言わなかった……

二人は一緒に家に帰った……

翌朝

青木岑は内田部長を車に乗せて坂口晴人の住まいへ向かい、各種検査を行った。

LIVIマガジンが発売されて以来、坂口晴人のファンは百万人も増えた……

国内で最も人気のあるアイドルスターとなり、映画やCMの仕事が途切れることがなかった。

しかし青木岑は彼に過度な仕事量を許さず、会社のスタッフに台本を厳選させた。

CMも商品を吟味し、最終的に優良なものだけを選んだ。

そのため坂口晴人は仕事は多いものの、オーバーワークにはならなかった。

内田部長が坂口晴人の各種検査を終えた後、青木岑に向かってうなずいた。

「回復状態は非常に良好で、予想以上だ」

「最近フィットネスに行ってるの？」

「ええ、毎日ジョギングしてます……それにしても、あなたの旦那さんは太っ腹ですね。僕にくれた別荘は景色が最高で、周りには湖もあるし、毎朝走りに行くんですが、人も少なくてプライバシーも保てます」

「それを続けなさい、あなたのためになるわ」青木岑は微笑んだ。

「青木姉……三十周年には来てくれますよね？」

「もちろん」

「西尾社長に青木姉と一緒にデュエットしたいって言ったんですが、断られちゃいました。青木姉の歌が上手すぎて、みんなが耐えられないって」

青木岑は思わず冷や汗をかいた……

「本当にそう言ったの？」

「はい……だから気になって仕方ないんです。一体どれだけ上手いのか、ちょっと聞かせてもらえませんか？」

「ダメ」

青木岑にはわかっていた。西尾様は遠回しに自分をからかっているのだと。

他人の歌は金で買えるが、彼女の歌は命がけというところだろう……

「三十周年でみんなが出し物をするのに、ご夫婦は何もしないんですか？」

「それはまだ決まってないわ、状況次第ね」