オーケストラが暗がりで生演奏のシンフォニーを奏で始めた……
それは美しく心地よいワルツ『porunacabeza』だった
バイオリンが主役の曲で、壮大で、ロマンチックな……
この曲の選択は西尾聡雄らしい……まさに王者の風格で、威厳に満ちている。
青木岑もかつてこの曲が大好きだった。
生演奏を初めて聴いて、本当に素晴らしかった……
「えっと……ダンスするの?」青木岑は少し驚いて、西尾聡雄を見つめた。
西尾聡雄は微笑むだけで何も言わなかった……
しかし、招待のポーズをとった……
このバカ、事前に言っておかなかったなんて、ああ……リハーサルもしていないのに。
でもこんなに大勢が見ているのに……
青木岑は恐る恐る手を伸ばし、彼の誘いを受け入れた。
西尾聡雄は片手で彼女の手を取り、もう片方の手で彼女の腰に回した。