「どうしたの?」
英子姉に会った時、青木岑は急いで尋ねた。
「見てきてあげて。朝ちょっと出かけて、昼に帰ってきたらこんな状態なの。私とも話さないし、何があったのかも分からないわ。以前、一番ひどかった時期もこんな感じだったの。本当に怖くて、目つきも別人みたいだった」
英子は青木岑が神経内科で経験豊富な医療スタッフだと知っていたので、すぐに青木岑に電話をかけた。
青木岑は頷いて、「分かった、見てくる。あまり心配しないで」と言った。
彼女は二階に上がった。ドアは半開きで、ノックしても返事はなかった。
彼女はゆっくりと中に入り、坂口晴人が隅で丸くなっているのを見た。
両手で自分を抱きしめる姿勢は、強い自己防衛の表れで、何か傷つけられたかのようだった。
最近、坂口晴人の状態は安定していたのに、なぜ突然こうなってしまったのだろう?