第276章:令嬢の大作戦(6)

「それは私が表に出ていて、あなたが陰にいたからですよ……私の性格は実は内向的で、上手く表現できないんです……あなたを見に行った時も、ほとんどの時間は遠くから見ているだけでした。学校の並木道を歩くあなたを見たり、一人でハンバーガーを食べるあなたを見たり、一人でバスケをするあなたを見たり……そして、一人で静かに物思いにふけるあなたを見ていました。」

細川詩は実は西尾聡雄のことを心配していた……

彼女が姿を見せなかった理由は単純で、西尾聡雄は失恋の傷を癒すために海外に行ったからだ。

彼を好きにさせる自信がなかったので、ただ静かに見守ることしかできなかった……

二人が帰国してから素敵な再会の機会を作ろうと思っていた……

しかし、西尾聡雄が帰国した時は、誰にも言わず、彼女の父親さえも知らなかった。

結婚も誰も知らず、静かに入籍してしまった……

これは彼女の計画とは全く違う展開だった……

今となっては、七年間欠かさず彼を訪ねていたことも、ただの思い出話になってしまった……

西尾聡雄は一時的に言葉が出なかった。細川詩が突然これらのことを話す意図が分からなかったからだ。

「はは……私って捻くれ者ですよね?両親もそう言います。小さい頃から自分の気持ちを表現するのが下手で、親しい友達に対してもそうでした……あなたは私の子供の頃の一番可愛い友達でした……だからいつか再会できることを願っていました……今……やっと会えました。実は他のことはどうでもいいんです。感謝しています……時を経て、最後に友達として会えることに。これで十分です。」

細川詩の言葉はあまりにも曖昧だった……

西尾聡雄は混乱して、彼女が何を伝えたいのか分からなくなった。

思い出の話をしたかと思えば、友達の話になり、また時の流れの話になり……

西尾聡雄が黙り込んでいるのを見て、細川詩は窓の外を指さして言った。「あの遊園地は私が昔一番好きだった場所です。メリーゴーラウンドが好きでしたが、臆病で乗れなくて、あなたが押して乗せてくれて、私は死ぬほど怖かった。あの感覚は今でも覚えています。」

「子供の頃は大胆で無謀なことをしたのに……大人になってから臆病者になってしまいました……」細川詩は自嘲気味に笑った。