第277章:令嬢の大作戦(7)

「母に会いに行ったとき、彼女もいたので、一緒に夕食を食べて、ついでに家まで送っていったんだ」

「え?一緒に夕食まで食べたの?」

西尾聡雄:……

「何を食べたの?」

「覚えていないけど、洋食と家政婦が作ったスープがあったよ。あまり食べなかったけど」

西尾聡雄は本当のことを言っていた。食欲もなかったからだ。

「そう……」青木岑は意図的に語尾を伸ばした。

「信じてくれよ。もし何かあったら、車に彼女がいたことなんて言わないだろう」

「わかってるわよ。私は何も聞いてないのに、あなたが緊張してるだけじゃない」青木岑は軽く笑った。

「緊張してないよ。君が質問するから緊張してきたんだ」

「じゃあ、後ろめたいことがないなら、緊張する必要なんてないでしょう?」

「君が余計なことを考えるんじゃないかと心配なんだよ」

「私がそんなふうに考える人に見える?」

「ごめん……悪かった」西尾聡雄は自ら謝った。

青木岑は笑いながら彼の腕に両手を回した……

「あなた……明後日試験なの。すごく緊張してるわ。どうしよう?」

「明後日?そんなに早いの?」

「そうなの。吉田院長が私をからかってるのかしら。しっかり準備したいって言ったのに、明後日に予定を入れるなんて……もう、気が狂いそう」

青木岑は初めて自分にこれほど自信が持てなかった……

長年の夢が叶うかもしれないのに、そう思えば思うほど緊張してしまう。

「大丈夫、君ならできる」

「でも私自身が自分を信じられないの。神経内科の病理がどれだけ厄介か、あなたにはわからないわ……そういえば、美玖が資料をメールで送ってくれるって言ってたけど、役に立つかしら?」

二人は御苑の家まで車を走らせた……

青木岑が階段を上る前に、幸治から電話がかかってきた。

「姉さん……彼女から連絡あった?」

「ないわ、どうしたの?」

「ここ数日、まだ連絡してこないんだ……どうなってるんだろう。普通なら数日静かにしていれば大丈夫なはずなのに」

原幸治は心配そうだった……

「最近気持ちの整理がつかないのかもしれないわ。焦らないで」

「姉さん……正直に言うけど、笑わないでね……」

「言ってみて」青木岑は携帯を持ちながら、ソファに座った。