「奥さん、やっぱりやめておこうか。神様が行かせてくれないような気がする」
西尾聡雄は、成功する確率がほぼゼロだと言わんばかりだった……
結果、コインは裏面が上を向いて落ちた……
青木岑は正々堂々と言った。「ほら見て、これは天意よ。私のせいじゃないわ」
「うん」西尾聡雄は頷いた。
そのとき、細川詩からまた電話がかかってきた……
青木岑は率先して西尾聡雄の携帯を取って出た……
「もしもし?」
「青木さん、もう出発した?私は席を予約したんだけど……」
「申し訳ありません、細川さん。私と主人は最近赤ちゃんを作ろうと思っていて、とても忙しくて……行けなくなりました。ご理解いただければと」
言い終わると、細川詩の返事を待たずに、青木岑はパンと電話を切った。
西尾聡雄は笑いながら青木岑を見た。「じゃあ、今は君が上?それとも僕が上?」