第316章:他人の物を奪う(6)

西尾聡雄は黙っていた……

しかし、その雰囲気は確かに圧迫感を与えていた……

最終的に西尾聡雄が譲らないのを見て、細川詩はしぶしぶ頭を下げて銀行口座番号を西尾聡雄に送った。

「全部でいくらかかった?」

「まだ八万円にもなっていないわ」細川詩は小声で言った。

10秒後、チンという音が……

細川詩はスマホの銀行通知を受け取った……

「どうしてこんなに送ってくれたの?」二百万円の振込を見て、細川詩は顔を上げて西尾聡雄を見た。

「この数日間の世話に感謝している」

「じゃあ……余分なのは労働費ってこと?」細川詩は苦笑いした。

西尾聡雄は黙っていた……

「詩ちゃん……西尾がくれたんだから、受け取りなさいよ。彼からのプレゼントだと思って、もらえるものはもらっておきなさい」西尾奥さんが丸く収めた。