第325章:油瓶を連れて旅行へ(5)

青木岑は道中で西尾聡雄に幸治のことについて大まかに話した。

だから西尾聡雄も状況を把握していた。

青木岑は熱のある体で二階へ上がり、幸治の寝室へ向かった。

「幸治、ドアを開けて、お姉ちゃんよ。」

何度もノックしたが、幸治は応答しなかった……

「幸治……ドアを開けて、話があるなら出てきて話しましょう。」

「姉さん、起きてるよ。ただ一人で静かにしていたいんだ。」

青木岑は困ったように西尾聡雄を見た……

西尾聡雄が前に出て、「私がやってみよう。」

「幸治、義兄さんだ。ドアを開けてくれないか。会社での実習について話したいことがあるんだ。」

果たして、西尾聡雄の声を聞いた原幸治はゆっくりとドアを開けた。

「やれやれ、やっと開けてくれたか。」

青木岑は幸治が無事なのを見て安心した……