第21章 温かい調和

彼がどこまで気取れるか見てやろう。駆け引きなのか、それとも駆け引きなのか!

林格史は親指を立てた。「すごいですね、緒羽様。この手は本当に見事です。私、感服しました!」

辻緒羽は彼に向かってまた一発蹴りを入れた。「俺が賢いのは分かってるだろう。お前が言うまでもないだろう!」

林格史は慌てて二、三歩避けながら、よく考えてみると違和感を覚えた。「でも緒羽様、あなたは水野日幸と付き合っているじゃないですか。もう汚れてしまったんですよ。若菜マドンナがまたあなたを受け入れてくれるでしょうか?」

辻緒羽は怒鳴った。「出て行け!」

林格史は頭を掻きながら、自分の言ったことは間違っていないと思った!

それに、緒羽様は今日、水野日幸のために若菜マドンナの三兄である曽我時助の機嫌を損ねたじゃないか!どうして彼女がまた受け入れてくれるだろうか?

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水野日幸は家に帰ると、カバンを置いて、アイスクリームを二つ持って塀の上に登った。

出雲絹代は娘を見て、優しく注意した。「梯子を上るときは気をつけてね、転ばないように。」

日幸この子は、お隣の叔父さんのことを本当に気にかけているわね。

水野日幸は返事をして、素早く塀の上に登った。男性の姿が見えないことに、明らかな失望感が目に浮かんだ。

下を見ると、かごの中の朝食も手付かずのままで、唇を噛みながら、心が少し痛んだ。

彼女は心ここにあらずの様子でアイスクリームを一つ食べ終えた。

道路を長いロールスロイスが遠くから走ってきて、ゆっくりと門の前に停まった。車椅子に座った男性が車から降ろされた。

長谷川深の車が曲がり角を曲がってきたとき、塀の上にいる少女が目に入った。制服も着替えていない姿で、彼を待っていた。

葛生が男性を押して中に入ると、すぐに誰かが「お兄さん」と呼ぶ声が聞こえ、顔を上げると塀の上にいる少女が目に入った。

夕陽が沈みかけ、暖かな光が少女の顔を照らし、りんごのように柔らかく可愛らしい頬、たまらなく愛らしかった。

水野日幸は彼らに手を振り、宝物を見せるように手にしたアイスクリームを掲げ、目を細めて笑った。「お兄さん、新しく買ったアイスクリーム、食べる?」

葛生は空気を読んで下がった。

長谷川深は車椅子を塀の側まで動かした。