第19章 風雲の人物

曽我時助も並の人物ではなかった。名門豪族の出身で、芸能界の新進気鋭のスター、容姿端麗で成績優秀な秀才で、第四中学校公認のプリンスだった。

二人は第四中学校での人気が共に高く、甲乙つけがたく、女子生徒たちの熱烈な支持を得ていた。

「辻緒羽、人をあまり追い詰めるな」曽我時助の声が、二階から響いた。

水野日幸が見上げると、彼が狐のような目をした美少年と一緒に立っているのが見えた。

その狐目の少年は、完璧な顔立ちで、その容姿は目を見張るほど美しく、だらしない様子で手すりに寄りかかり、両手をポケットに入れ、まるで漫画から飛び出してきたような美少年だった。

少年は彼女が見ているのに気づくと、媚びるような目配せをし、派手な様子だった。

大豆田秋白は、曽我時助の親友で、将来の日本のトップスター、その容姿だけで多くのファンを魅了し、ファンたちからは「歩く春薬」と呼ばれていた。