「アプリの開発は、口先だけで出来るものじゃないよ。」
「お兄さん、海外にいるでしょう?シリコンバレーにも知り合いが多いはずだよ。高額で頼めば、ライブ配信業界は、ここ2年で絶対大きくなるし、ショート動画も先手を打っておけば、すぐに大ブレイクするはずだよ。」
「よく知ってるじゃないか。」
源那津は笑いながらため息をつき、すべてを見透かされた気分だった。
水野日幸は自分の頭を指差しながら:「お兄さん、私がアイデアを出して、あなたが技術サポートをする。このアイデアは無価値の宝物で、いくらお金を積んでも買えないものよ。」
源那津は頷いた:「アプリ開発の件は、早急に進めていくよ。」
水野日幸はようやく笑顔を見せた。その笑顔は春の日差しのように、表面の薄い氷を溶かすようで、胸を叩きながら約束した:「お兄さん、私を信じて。私たちは絶対に大儲けできるわ。そうすれば、私たちの会社は完全な産業チェーンになるの。
長くても半年で、私の脚本がドラマ化されて、会社は最初のタレントたちを売り出せる。
そうなったら、アプリが出来上がって、自社の人気タレントが自社の商品の宣伝をすれば、すべてうまくいくわ。」
源那津は彼女を見つめて:「そうなることを願うよ。」
水野日幸は拳を突き出し、にこにこしながら自信に満ちた表情で彼を見た:「そうなるに決まってるわ。」
源那津は彼女と拳を合わせた:「妹よ、君にはいったいどれだけの秘密があるんだ?」
水野日幸:「どうだと思う?」
源那津:「君を信じているよ。」
彼はずっと、自分の視野と考え方は一般人よりはるかに上だと思っていた。
でも彼女と比べると、人外に人あり、天外に天ありということを実感した。
水野日幸は自社でおいしい昼食を食べ、ソファーに横たわりながら、今は無名だが将来有名になる、今のうちに契約できそうなタレントを見逃していないか考えていた。
「水野社長、入ってもいいですか?」源那津がドアをノックした。
水野日幸は少し目を細めて、長い脚で歩いてくる男を見た:「源社長、用件は手短にお願い。」
源那津は彼女の足を軽く叩いて、場所を空けてもらい、隣に座った:「さっき安藤監督から電話があって、君の脚本をとても気に入ったそうだ。詳しく話し合いたいって。」