第26章 チャンスを掴む

源那津の動きは早く、一週間もかからずに新会社の手続きをすべて済ませていたが、ただ社名についてはちょっと意見があった。

「日幸、会社の名前、もう一度相談してみないか」源那津は、この名前が厨二病すぎると深く感じていた。

「コスモスエンターテイメントグループ、何か問題でもある?」水野日幸は反問した。

「この濃厚な厨二病感は、私のような成熟したエリート男性には似合わないよ」源那津は真面目な顔をした妹を見つめた。

この子は初めて会った時、とても楽しそうに笑っていたのに。

この数回の面会では、笑顔一つ見せてくれず、真剣な表情を見せる時は、彼でさえプレッシャーを感じるほどだった。

「とても似合ってるわ」水野日幸は彼を横目で見て、その眼差しは『あなたこそ厨二病よ』と物語っていた。

「OK、君が大株主で投資家だから、君の言う通りにしよう」源那津は妥協し、彼女が渡した詳細な計画書に目を通した。

彼女の企画は、映画、ドラマ、バラエティ、芸能人、歌手、脚本部、監督部、ライブ配信、ショート動画と、いくつかの部門に分かれていた。

彼女はリストを作成し、俳優、歌手、アイドル、脚本家、監督、カメラマン、メイクアップアーティスト、スタイリストと、分類がとても明確で完璧だった。

これらの人々の中には、芸能界の無名新人もいれば、大学の在学生もおり、さらには長年業界にいながら依然として売れない三流タレントもいた。

前述の人々は契約できる問題はないし、なぜこれらの人を選んだのかも聞かないつもりだった。それは彼女の秘密だ。

彼女が話したければ聞くし、話したくなければ無理強いもしない。協力を選んだ以上、彼女を信じるべきだ。

「水野社長、ライブ配信部門については、リスクが大きすぎると思います。今は、これほどの投資資金はありません」源那津は彼女を見て言った。「もう一度よく考えてみましょう」

「お兄さん、本当に資金がないの?」水野日幸は興味深そうに彼を見た。

「今は始まったばかりで、こんな大きな事業は手に負えないよ」源那津は一歩一歩着実に進むのが良いと考えていた。

「お兄さん、こんなに臆病だったなんて知らなかったわ。リスクと収益は表裏一体よ。金融学と経済管理学のダブルディグリーを持つあなたが、これを恐れるの?」水野日幸は彼のコネクションが少なくないことを知っていた。