第79章 生命が続く限り、戦いは終わらない

芸能界の今の若手女優たちは、初恋フェイスや少女感、活発で可愛い食いしん坊など、様々なキャラ設定で売り出していますが、彼女のような生まれながらのクールな雰囲気を持ち、視聴者と距離を置く人は珍しいです。

水野日幸は微笑んで黙っていた。

「中森茜先生、どうぞ」田中楠は彼女の冷静で落ち着いた雰囲気に驚かされた。

この動じない態度は、誰もが簡単にできることではない。メイクルームにいる40代を過ぎた女優を見ればわかる。

20年以上も人と争い続け、まだ争っている!

まさに命ある限り戦い続けるという言葉を体現しているようだ!

工藤沙織はとても美しく、メイクも衣装も着ていない状態でも美しかったが、目尻や眉間のしわは彼女の本当の年齢を物語っていた。

彼女の美しさは、時間の沈殿によって積み重ねられた静かな美しさではなく、華やかな美しさで、高橋夢の雰囲気によく似ていた。ただし、顔立ちは高橋夢ほど整っておらず若々しくなく、コラーゲンたっぷりの肌でもなかった。

「工藤先生、始めましょう!」水野日幸は無駄話をせず、すぐに本題に入った。

無駄にする時間はない。彼女のために最も人々を魅了し、確実に川村染を圧倒し、目が離せないような完璧なスタイリングを作り上げなければならない。

「中森さんでしょう?冗談じゃないわよ。もし私を満足させられなかったら―」工藤沙織の目には明らかな怒りが見えた。「あなたは芸能界で生きていけなくなるわよ」

「工藤先生、ご安心ください。私の師匠の名を汚すようなことはしません」水野日幸は微笑んだ。

工藤沙織は、こんなに美しく、若くて、自分の前でこれほど冷静な少女を初めて見て、彼女に対して信頼と期待を感じ始めた。「じゃあ、始めましょう!」

水野日幸は特別な機材は持っていなかった。急遽デパートで買ってきた化粧品やカールアイロン、ドライヤーなどの必需品だけ。スタイリストを装うなら、何の専門機材も持っていないというわけにはいかないからだ。

工藤沙織も遠慮なく本音を見せた。「あなたの思う通りにやってちょうだい。私は他に何も求めないわ。ただ川村染を圧倒できれば、あなたは私の専属スタイリストよ。きちんと待遇するわ」

水野日幸は「工藤先生のご厚意に感謝します。でも私はまだ学生で、この早い段階で芸能界に入る予定はありません」と答えた。