彼女たち以外に、視聴率10以上に賭けるバカなんていないし、5に賭ける人さえいないのよ!
水野日幸は石田文乃を見つめた。「文乃、それはちょっと行き過ぎだよ。彼女たちが嫌がっているのに、強制するなんて!」
石田文乃は我慢できずに、この意気地なしの連中を見た。「何泣いてんのよ、お葬式じゃないんだから。負けたら私が補填するって言ってるでしょ」
腹立たしい。誰がこんな賭けを仕組んだのか知らないけど、明らかに『笑江山』の女の子たちを見下してる。彼らに見せつけてやるわ。
それに、あの目の節穴どもときたら、『笑江山』を軽視して、視聴率1以下や0.5以下に賭けてる。だから私は絶対に10に賭けるわ!
女の子たちは彼女に怒鳴られて泣くのをやめ、水野日幸の後ろに隠れた。殴られるのが怖かった。お金を渡したくないわけじゃない。普通に頼まれれば、全財産でも構わないのに。
でもこれは明らかに負ける賭けなのに、彼女は火の中に飛び込もうとしている。止めようとしても聞かない上に、臆病で役立たずだと責められる。
「もう泣かないで」水野日幸はようやく状況を理解し、女の子たちの苦しい立場も分かった。石田文乃の方を向いて「文乃、彼女たちが賭けたくないなら、お金を返してあげて。足りない分は私が出すから」
石田文乃は既に怒っていたところに、姉妹たちが泣きながら止めようとするし、彼女がお金を出すと聞いて笑ってしまった。「余計なことしないでよ」
彼女にどれだけのお金があるというの。クラスで一番貧乏なのは彼女なのに。先週のクラス費だって、こっそり徴収しなかったのよ。少しでも節約させてあげようと思って。
「ここに一万円あるから、これで賭けて。足りなかったらまた考えるから」水野日幸はさっさとキャッシュカードを取り出して渡した。「暗証番号は8が6つ」
「分かった、絶対損はさせないから」石田文乃は決意に満ちた目で受け取り、他の女の子たちを睨みつけた。
日幸が出してくれた一万円は、他の子の100万円や1000万円よりも感動的だった。
みんなお金持ちだけど、日幸は違う。一万円は彼女が長い間貯めた生活費かもしれない。
『笑江山』は絶対に頑張らないと。配当率1:100なら、一万円で100万円稼げる。彼女にとっては大金だ。
水野日幸は興味深そうに携帯のギャンブルサイト名を見つめ、冷笑を浮かべた。