第115章 お先に失礼します

舞台の上で、江川歌見は男性の手からトロフィーを受け取り、笑顔で言った。「弟子が急用で身動きが取れないので、教師である私が代わりに受け取らせていただきます。皆様の彼女へのご厚意に感謝いたします。」

観客席からは、再び雷のような拍手が沸き起こった。

会場にいる大スターたちは、ファンの目には高嶺の花のような存在だが、この瞬間、彼らは皆、江川歌見と藤田清輝のファンに過ぎず、熱狂的なファンと化して、興奮して二人の名前を叫んでいた。

授賞式の後、川村染は藤田清輝と江川歌見が楽しそうに話しながら降りていくのを見て、小声で娘に言った。「私について来なさい。」

曽我若菜は立ち上がり、心の中で不安と興奮を感じながら、もうすぐ最も好きな人に会えると思うと、心臓が鹿のように跳ね続けていた。

母は素晴らしい人で、日本の女優であり、大先輩で、国際映画界でも名の通った存在だ。藤田さんはきっと母の顔を立ててくれるはずだ。

江川歌見は国内外に友人が多く、多くの国際的なスターたちが彼女の友人だった。結局のところ、ファッション界の大物と付き合い、より良いファッションリソースを得たくない人はいないのだから。

彼女は藤田清輝と何度か顔を合わせたことがあり、彼のスタイリングデザインを担当したことがあったが、彼の友人とは名乗れなかった。

「あなたの弟子は本当に素晴らしい。」藤田清輝は心から褒め、礼儀正しく笑いながら言った。「母がそのドレスをとても気に入っています。」

「お母様にご満足いただき、ありがとうございます。必ずお伝えいたします。」江川歌見は笑顔を浮かべた。

正直なところ、彼女も愛する弟子に会いたかったが、源那津の方はまだ本当のことを話してくれない。

もし彼がまだ真実を話さないなら、帰ったらどうやって懲らしめてやろうか！

「中森茜先生はそのドレスを私に売っていただけないでしょうか？」藤田清輝は初めてそのドレスを見た時の感動を思い出した。

母親が写真を見せてくれた時、とても喜んでいた。

父が失踪してから、母がこれほど何かを好きになり、執着するのを見たのは久しぶりだった。

「お聞きしてみましょう。」江川歌見は礼儀正しく答えた。

傍らのこの男性は、世界の名門の頂点に立つエリートで、真の名門の御曹司であり、謙虚な人柄だった。