第123話 私に直接連絡して

翌日の早朝、一晩中降り続いた大雪で、外は銀世界となっていた。

水野日幸はカバンを背負い、中庭に出た時、足取りを緩め、隣家の方をそっと見やり、梯子の側まで行ったものの、やはり躊躇して、こっそりと身を翻した。

やっぱりやめておこう!

もう兄さんに会わせる顔がない。

結局のところ、彼女の厚かましさが足りないだけだ。恥ずかしがることなんてないのに、彼のことを心配して何が悪いの?

心配するのは当たり前のことじゃない。野良猫や野良犬に餌をやっていて、ある日突然一匹いなくなったら、どこに行ったのか心配して探しに行くでしょう!

彼女が振り返ろうとした時。

突然。

目の前を紙飛行機が飛んできて、ちょうど彼女の足元に落ちた。

拾い上げると、そこには文字が書かれていた。

男性の文字で、力強く、流麗で落ち着いた筆跡:私の携帯番号です。何かあったら直接連絡してください。

その下には、彼の携帯番号が書かれていた。

水野日幸は大切そうに紙飛行機をしまい込み、まるで子供のように嬉しくて、その場でくるくると回り、隣家の方を見上げ、目を細めて笑いながら大きな声で言った:「兄さん、おはようございます。」

すぐに、隣から男性の温かく、セクシーな声が返ってきた:「おはよう。」

水野日幸は胸に手を当て、激しい心臓の鼓動を感じ、顔が熱くなり、もう何も言えず、逃げるように走り去った。

長谷川深は少女の遠ざかっていく、少し乱れた足音を聞きながら、唇の端を緩やかに上げ、楽しそうな笑みが目尻まで届いた。

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試験週間の前の週に、今学期最後の試合となる英語ディベート大会があった。

試験週間まであと半月ほどで、英語ディベートチームの最終メンバーが決定した。

特進クラスのメンバー以外では、国際クラスの水野日幸と辻緒羽だけが選ばれた。

辻緒羽は、成績は良くないものの、英語が得意だった。特にディベートにおいては、思考が明確で言葉の選択が鋭く、無敵の強さを誇り、第四中学校の代表として出場する時は、必ず彼が選ばれていた。

土曜日の午後、ディベートチームのメンバーはチームワークを高めるための活動を行い、大会でより良い団体戦を展開できるよう、チームの結束力を強化することになった。