「お母さん」曽我若菜は弱々しい声で呼びかけた。「妹に話してあげて。承諾してもらえるように。松原先生の弟子になれるなんて、本当に光栄なことなのに。私にはそんな運がなかったわ」
「あなたのせいじゃないわ」川村染は冷ややかに言った。「運がないんじゃなくて、あの松原という人が目が節穴なだけよ」
うちの若菜はこんなに優秀なのに、あの生意気な水野日幸なんかと比べものにならないわ。
松原白羽も後継者が見つからなくて焦っているから、誰でもいいから弟子にしようとしているだけよ。
「お母さん、松原先生はそんな人じゃないわ。妹はダンスが本当に上手いの」曽我若菜は話せば話すほど悲しくなり、目が赤くなってきた。「私が無能なだけ。お母さんの期待に応えられなくて。今じゃダンスをすると足が痛むの」