この数日間は珍しく晴天が続き、太陽が強く照り、体に当たると暖かい。
水野日幸はマンションの入り口を通りかかった時、真っ赤なりんご飴を何本か買った。出雲さんと水野は酸っぱいものが苦手なので、彼らにはイチゴのものを。
彼女は酸っぱいものが好きで、サンザシを2本。お兄さんは胃の調子が良くないから、山芋の実を1本。そしてみかんを1本、これは葛生のために。
葛生は何度も何度も見回りをしていたが、水野日幸がりんご飴を持って来るのを見かけると、すぐに報告した。「ボス、水野お嬢様がお戻りです。」
長谷川深は頷き、低い声で指示した。「荷物を全部上げてくれ。」
水野日幸は帰宅後、まず2本のイチゴのりんご飴を保管し、それから興奮して梯子を上った。目をやると、ダイニングテーブルに座る男性が目に入った。
男性は格好いい黒のロングコートを着ていて、ただそこに静かに座っているだけで、気品とは何かを生き生きと体現していた。
「お兄さん」水野日幸は手にしたりんご飴を掲げて言った。「りんご飴1本じゃ、ダイニングテーブルを占領する理由にはならないでしょう。」
長谷川深は少女のふわふわした頭が覗いた時から、目元に笑みが浮かび始め、今やその笑みは深まっていた。「食事に招待したいんだ。」
「今日は木曜日じゃない。何の食事?」水野日幸は不満げに呟きながら、りんご飴を正確に彼の前の皿に投げ入れ、赤ちゃんのように嬉しそうに手を叩いた。「命中!」
「明日から数日出張なんだ。前祝いさ。」長谷川深は玉のように長く美しい指でりんご飴を取り、包み紙を開けた。山芋の実のりんご飴だった。
少女は様々なおやつを買うのが大好きで、焼き芋や甘栗など。特に好きなのはりんご飴だが、彼には毎回山芋の実のものしかくれない。
彼女が手にしている真っ赤なサンザシの味も、一度味わってみたいものだ!
「視聴率が足りなかったらどうするの?」水野日幸はりんご飴を食べながら、口の中が一杯で不明瞭に呟いた。
「必ず大ヒットする。」長谷川深も山芋の実を一つ食べた。甘い味が口の中に広がる。まるで少女の笑顔のように甘美だ。
「お兄さんがヒットすると言うなら、きっとヒットするわ。」水野日幸は目を細めて笑いながら頷き、りんご飴を差し出した。「ぶつけっこしよう。」
長谷川深は山芋の実のりんご飴を取り、彼女のものとぶつけ合わせた。