国際クラスは、毎日賑やかだった。
水野日幸が教室の入り口に着いたところだった。
石田文乃がすぐに駆け寄り、心配そうに彼女を見つめた。「日幸、大丈夫?一体どこが具合悪かったの?」
日幸は昨日体調不良で休んでいた。先生から具合が悪いと聞いて、みんなとても心配していた。
今日も来なかったら、栄養剤でも買って家に見舞いに行こうと思っていたところだった。
「大丈夫、もう治ったわ」水野日幸は彼女を見て言った。「昨日、一橋...」
石田文乃は彼女の額に手を伸ばしかけていたが、その言葉を聞いて大胆にも彼女の口を塞ぎ、肩を抱いて席まで連れて行きながら大声で言った。「治ったなら良かった!日幸の病気は治ったから、みんな自分のことに戻りなさい」
周りに集まっていた女子たちも大らかで、あんなに目を見開いていたのに彼女の様子の異変に気付かず、それぞれの席に戻っていった。
石田文乃は昨日バーに向かう途中、バイクに乗った強盗に襲われそうになっていたお年寄りに出会った。物は取られなかったものの、擦り傷を負っていた。
彼女は模範的な若者として当然責任を持って、お年寄りを診療所に連れて行き、傷の手当てをし、かわいそうに思って家まで送り届けた。
そのお年寄りが一橋渓吾の御祖母だったとは知らず、どうしても一緒に食事をしようと言われた。
断るわけにもいかず、そのまま食事をご馳走になった。
「へぇ!」水野日幸は話を聞き終わると、さらりと応じた。「一橋御祖母は大丈夫だったのかなって聞きたかっただけよ」
「大丈夫だよ」石田文乃は咳払いをした。なぜか落ち着かない様子だったが、いい事をしたのだ!
彼女の言葉が終わるか終わらないかのうちに。
辻緒羽が入ってきて、開口一番叫んだ。「石田文乃、昨日一橋渓吾の家に行ったんだって?」
石田文乃は突然立ち上がり、彼を指差して怒鳴った。「私がどこに行くのにあんたに報告しなきゃいけないわけ?辻緒羽、このゴシップ野郎!」
彼女の言葉が終わるや否や。
クラスの噂好きな連中が一斉に振り向いて、興味津々な表情を浮かべた。
石田さんが一橋渓吾の家に?どういうこと?これは何かありそう!
「一橋御祖母の様子を聞いただけだよ。なんでそんなに興奮してるの?」辻緒羽は彼女に驚かされて、「怪我が重かったら、お見舞いに行かないと」