彼は製薬工場の責任者で、幼い頃から医学を学び、東洋医科大学の教授を務め、漢方医学会の副会長でもあり、たとえ鈍い者でも、数十年の経験により、医学と薬学の分野で相当な業績を残していた。
彼ははっきりと分かっていた。この娘が提供した製品がどれほどの価値があるか。あの美容養顏丹一つだけでも、市場に出せば計り知れない利益が得られるはずだ。
最初の頃、薬は彼のところに届けられていた。
成分と効果を研究させた後、その素晴らしさに驚嘆し、それから老爺に判断を仰いだのだ。
老爺は長年初めて彼を褒め、賞賛の眼差しを向けた。
彼はもっと良い仕事をしたかった。価格を抑え、より多くの利益を得て、絶対的な主導権と優位性を握るため、当然、薬を提供する者たちに浅井家の力を見せつける必要があった。
昨日、招待状を personally 届けると嘘をついて、招待状を握りしめたままにしていた。
しかし、浅井長佑という若造にばれてしまい、父親の前で告げ口され、今のような行き詰まりを招いてしまった。
老爺が偏愛していることは知っていたが、まさか彼が手がけていたプロジェクトをこんなにも簡単に浅井長佑という若造に任せるとは思いもよらなかった。
そして目の前のこの生意気な娘も、彼を軽視し、言葉の端々に逃げ腰が見え、彼との協力や引き継ぎを拒み、老爺に人を変えるよう求めた。
水野日幸が今日来たのは、ただ浅井家と初めて接触し、協力できるかどうかを見極めるためだった。
浅井家の老爺は誠意ある態度で、正直な商売人だと分かり、協力は可能だと判断した。
浅井長佑という人物は、彼女には自分に不利なことはしないだろうと感じられ、信頼できた。
浅井長栄については、ただの役立たずで物事を台無しにするだけの存在に過ぎず、気にするに値しなかった。
彼が何か悪だくみをしても、彼女が手を下す前に浅井長佑が懲らしめてくれるだろうと確信していた。
浅井家の執事がドアをノックして入り、浅井弘に耳打ちした。
浅井弘は水野日幸を見つめ、目に賞賛の色を隠さずに言った。「日幸、私にはまだ用事があるので、長佑に案内させよう。」
この小娘は、若くして並々ならぬ才能を持っている。話し方も、交渉時の威厳も、彼に引けを取らない。実際に目にしなければ、彼女がたった17歳の少女だとは誰も信じないだろう。