「この薬は私が作ったものです」水野日幸は彼女を見つめながら言った。
彼女が今後作る美容製品は、将来発売される際に女優の宣伝協力が必要になるので、当然彼女には隠し事はしない。
工藤沙織は信じられない様子で彼女を見つめた。「あなたが作ったの?」
なんてこと!
彼女はどんな天才に出会ったのだろう。スタイリングはもちろんのこと、美容効果のある神薬まで作れるなんて、なんて凄いんだろう。
そう!
彼女がくれた美容養顏丹は、まさに神薬だった。服用してたった半月で、肌が目に見えて若返り、しわが減って、肌がキュッと引き締まり、コラーゲンまで戻ってきたような感じがした。
「沙織姉、安心して。絶対にお薬は切らさないから」水野日幸は微笑んで、話題を変えた。「でも、姉さん、秘密にしておいてね」
「それは任せて」工藤沙織は胸を叩いて約束した。「秘密を守るだけじゃなく、イメージキャラクターが必要になったら、他の人じゃなく私を使って」
それはまだ何とも言えない。この薬の効果は自分で実証済みだから自信はある。芸能界は彼女の主戦場だし、商品の宣伝普及には問題ないはずだ。
彼女は自分の若返りの秘密を他人に教えたくはなかったが、この子のことなら自分のことと同じ。心を痛めながらも商品を広めることにした。
水野日幸の美容製品は、今のところ美容養顏丹一種類だけで、出雲さん、水野、師匠、そして工藤沙織の数人にだけ使用してもらっている。
彼女の計画は、主に師匠と工藤沙織に焦点を当てていた。一人はファッション界の大物で、もう一人は芸能界の大物だ。
彼女の美容製品は、ハイエンドを主力とし、お金を惜しみなく使い、美のためなら大金を投じる男女をターゲットにしている。
芸能界という場所は、見た目が正義。男優も女優も、容姿を保つために必死で、様々な美容法を心得ており、お金を使うことは言うまでもない。
「日幸、安心して。芸能界での宣伝は私に任せて」工藤沙織は彼女を見ながら、何か違和感を覚えた。「私って今、あなたの下部組織になったの?これって直販?」
水野日幸は口元を緩めて笑った。「あなたは女優に専念してくれればいいの。薬の販売は心配しないで。その時は芸能界で宣伝してくれるだけでいいから。今、浅井家と交渉中で、うまくいけば仁心堂薬局で販売することになるわ」