第230章 窮鼠噛み付く

工藤沙織はまだ上の階のレストランに行っていなかった。水野日幸が誰かを紹介したいと言っていたので、先に行くのは良くないと思い、一緒に行くのを待っていた。

「この初雪ホテルはね、オーナーが心を奪われた女性にちなんで名付けたんだよ」工藤沙織は水野日幸にゴシップを話した。「オーナーが好きな女性と初めて会った日に、ちょうど初雪が降っていたんだって。ロマンチックでしょう!」

水野日幸は頷いて、確かにロマンチックだと思い、笑いながら尋ねた。「じゃあ、そのオーナーは、憧れの女性と結ばれたの?」

工藤沙織は憧れの表情を浮かべながら首を振った。「それは分からないわ。でも素敵じゃない?彼が建てたホテルの2階、3階、24階は全て空けてあって、好きな女性のために自ら内装を手がけるんだって」

水野日幸は面白いと思いながら、少し感慨深げに言った。「ホテルこんなに大きいのに、もったいないわね。彼と好きな人が住むにはそんなに場所要らないでしょう」