第267章 寵愛を恃む

藤田清明:「私が助けたから、私も行くんだ。」

水野日幸:「あなたって、恩を着せがましいわね!」

藤田清明は傲慢に鼻を鳴らし、当然という表情を浮かべた。

水野日幸は彼を蹴り落としたい衝動に駆られ、縛られた強盗を指差して:「この人たちはどうするの?」

藤田清明:「誰かが処理するさ。」

水野日幸は彼の言葉を聞き終わると、左後方をさりげなく見やった。

彼女は知っていた。藤田清明が外出する時は、必ず暗殺者が護衛についている。彼らは武術に長け、特に姿を隠すのが上手かった。

藤田清明は幼い頃から、どこへ行くにも護衛が付き添っていた。先ほども水野日幸が出手しなくても、護衛たちが彼を危険から守っていたはずだ。

しかし、護衛の暗殺者たちが動く前に、家に居候している少女が先に動いてしまった。