第289章 双子のように

彼女は人から聞いた話では、藤田家の三兄弟はそれぞれ異なる魅力を持っていて、藤田清輝は大人びた美しさがあり、目の前の少年は若いながらも、その雰囲気と中性的な美貌は芸能界のイケメンや美女たちを圧倒するほどだった。

「座って、遠慮しないで」松原白羽は慈愛に満ちた笑顔で二人を見つめた。

月は二人のことを才色兼備と言ったが、それは間違いない。でも彼女から見ると、恋人同士には見えなかった。

藤田清明は先に水野日幸の椅子を引き、彼女が座るのを見届けてから、紳士的に優雅にナプキンを広げてあげ、それから自分の椅子を引いて座った。

水野日幸は彼からこんな丁寧なサービスを受けるのは初めてで、少し慣れない感じがした。心の中で感心していた。さすが演技が上手い、藤田スターの弟だけあって、芸能界に入らないのは惜しい、アカデミー賞ものだ。