水野楓も呆然としていた。大晦日の夜遅くに宅配便とは、正気の沙汰ではない。不機嫌そうに声を潜めて言った。「俺にも分からねぇよ。どいつだよ、まさか小娘の好きな奴じゃないだろうな!」
藤田清明の目が危険な色を帯びた。首を振って、確信を持って言った。「違う」
目の前のこの男は、ただの配達人に過ぎない。彼の當主こそが、あの悪戯っ子を攫おうとしている本人なのだろう。
あの人は一体どんな身分なのか、使いに出した使い走りですら、こんなオーラを放っているとは。
藤原敦は去った。
水野日幸はドアを閉め、蜜を食べたような甘い気持ちで、目元も眉も甘い笑みに溢れ、宝物のようにプレゼントを持って部屋へ向かった。
水野楓は手癖が悪く、彼女からプレゼントを奪い取り、素早く中身を取り出した。見ると紅包だった。眉をひそめ、軽蔑した表情で言った。「お年玉か、なんて俗っぽい」