第316章 大事件が起きた

水野日幸は気を抜き、大豆田秋白を睨みつけた。このろくでなし、一体何なんだ?何かを失くしたからって、わざわざ戻ってきて探すなんて。

大豆田秋白はまだ彼らに気付いていなかった。

水野春歌は先に気付き、彼らの方を向いて言った。「日幸、楓、秋白の指輪が無くなったの。一緒に探すのを手伝ってくれない?」

大豆田秋白は少女を見て、不思議に思った。彼女は目が見えないからこそ、他の感覚がこんなに鋭いのだろう。

水野日幸は近寄り、冷たい目つきで大豆田秋白を一瞥した。「姉さんは目が見えないのに、なぜ引っ張り回すの?」

大豆田秋白は笑うだけで、何も言わなかった。

水野春歌は説明した。「彼が引っ張ったんじゃなくて、私が手伝いたかったの」

水野日幸は春歌の前では怒りを表すことができず、とにかく彼は腹黒い千年狐で、腹の中は悪巧みでいっぱい、一体何を企んでいるのか誰にも分からない。

水野楓は警告するような目で彼を見て、水野春歌を自分の側に引き寄せた。「姉さん、家に送るよ。僕と日幸で探すから」

「うん」水野春歌の声には落胆が混じり、唇の端に一瞬の苦みが走った。

そうだよね。

目の見えない私なんかが、どうやって物を探すっていうの?きっと邪魔になるだけよ。

大豆田秋白は彼女の感情をはっきりと感じ取り、心が針で刺されたような痛みを覚えた。水野楓を見て言った。「お姉さんは第六感が優れているよ。一緒に探そう。人が多い方が早く見つかるから」

水野日幸は彼がそう言うとは思わなかった。さっき楓が姉を帰そうとした時、姉の失望を感じていたが、この大豆田秋白というやつ、意外と気が利くじゃないか。

四人で道すがら指輪を探したが、日が暮れるまで探しても見つからなかった。

大豆田秋白は帰らなければならなかった。既に長く時間を取られ、母の世話をしなければならない。指輪の写真を彼らに渡し、水野日幸たちに指輪探しを頼み、この町で懸賞金をかけることにした。見つかったら謝礼を出すと。

「恩は言葉では言い表せません」大豆田秋白は真剣な表情で彼らを見た。「探すのを手伝ってください」

水野日幸はこの狡猾な狐がこんなに真摯な態度を見せるのは珍しく、断る理由もなかった。真剣に頷いて「任せて、できる限り探すから」