第322章 賭石

そのネックレスは、この女性の持ち物なのか、それとも水野楓からの贈り物なのか、まだ分からなかった。

「俺はね、最近ね、原石の賭け事をしているんだ」水野楓は神秘的に微笑んで言った。「ちょっと試しただけで、儲かったから、彼女にネックレスを買ってあげたんだ」

この言葉を聞いて、皆が信じられない目で彼を見つめた。原石賭博については聞いたことはあるが、やったことはない。一夜で大金持ちになる人もいれば、一夜で破産する人もいるという。

しかし、水野楓の話を誰も信じなかった。みんな彼が嘘をついていると言った。たとえ原石賭博だとしても、そんなに運が良くて毎回勝って、何千万も何億も稼いだ?それは宝くじの一等に当たる確率と変わらないだろう。

「信じないの?」水野楓は店内の原石が並べられているショーケースを指差して:「この原石は売り物ですか?」

王丸叔父はこの若者の傲慢な態度に興味を持った:「この原石は販売用で、値段も表示してある。見てみるといい」

この若者が原石賭博で大金を稼いで、彼女に'夢幻の涙玉'を買ったというのは、運だけでは説明できない。きっと実力もあるはずだ。

水野楓は今や水野日幸を完全に信頼し、言われるがままに一番安い原石を指差した:「あれにしよう」

少女が先ほど彼に言ったのだ。あの大きな石の中身が一番良いと。

王丸叔父は宝飾業界で数十年の経験があったが、原石賭博はしたことがなかった。リスクが高すぎて、彼は冒険が好きではなく、原石の仕入れと値付けは社長が直接行っていた。

しかし、この小さな町では原石を買う人も少なく、普段は飾りとして置いてあるだけで、たまに買う人がいれば切って、時々社長が自分で石を切ってブレスレットや置物を作っていた。

同窓会の参加者たちはここまで来て呆然としていた。どうして宝石の鑑定が原石賭博に発展したのか、展開が少し奇妙だった。

みんなは2000元の値札が付いたその石を見て、様々な表情を浮かべた。水野楓が原石賭博で金持ちになったという話を疑問視していたので、その石から何が出てくるのか見守っていた。

その石は非常に大きく、直径が1メートルほどあり、墨黒色で、形も見た目が良く、どこに置いても立派な置物になりそうだった。